機械式時計から「チクタク」という音がするのはなぜか、と不思議に思ったことはないだろうか。
この音は、ムーブメントの計時機能において主要な役割を担う重要な部品、脱進機から発せられる。まず、アンクルの爪がガンギ車のレバーに引っ掛かる時、「チク」という音が聞こえる。そして、テンプ(振動子)の動きによってアンクルの爪が外れ、ガンギ車が解き放たれる。ガンギ車は回転を続け、次の爪に引っ掛かる。この時、「タク」という音がする
アンクルの爪はガンギ車の斜めの歯に対する無限の振り子の鼓動を14,400回の「チク」と14,400回の「タク」で毎時28,800回、正確に続ける。1年間では、合計2億5,000万回に達する。